物足りない部分もあるが、読むほどに味が出る
足引き寺閻魔帳シリーズ第2作。 前作に比べると、ずいぶん違和感なく読めるようになってきた。とはいえ、若干物足りない部分もないとはいえない。 まず、その昔京のどこかにあると言い伝えられていた、賽銭とともに 書状を投じれば悪人に征伐が与えられる『足引き寺』を舞台にしているにもかかわらず、 今回はなんとその『足引き』による物語がひとつもない。 寺の住職である宗徳に『このところ足引きの依頼がなくて酒も飲めない』 と度々愚痴をこぼさせるあたり、言い訳めいてさえいる(笑) また、4人プラス1匹の大人数を主役にしているせいもあるのだろうが、 ほかの『公事宿シリーズ』や『祇園社神灯』と比べると、 今ひとつそれぞれの個性が精彩を欠いているように思う。 もう少し、個別に焦点を当てた物語などもあってよいのでは、 と思うのだが、それも今後出てくるのだろうか。 ほかのシリーズ同様、人情物語が基本であるにもかかわらず、 事件も暗く重いものが多いのも少し読んでいて気が滅入る。 とはいえ、読むほどに味が出るシリーズであるような気もする。 そこがやはり作者の実力なのだろう。
徳間書店
足引き寺閻魔帳 (徳間文庫) 聖護院の仇討―足引き寺閻魔帳 (徳間文庫) 悪の梯子―足引き寺閻魔帳 (徳間文庫) 嵐山殺景 (徳間文庫―足引き寺閻魔帳) 真葛ヶ原の決闘―祇園社神灯事件簿〈3〉 (中公文庫)
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